トップページ > おもてなし規格認証 事例紹介 > おもてなし規格認証 2019 最高位「紫認証」取得事業所に聞く 5(前編)~株式会社陣屋 元湯陣屋~

株式会社陣屋 元湯陣屋

おもてなし規格認証 2019 最高位「紫認証」取得事業所に聞く 5(前編)~株式会社陣屋 元湯陣屋~

2020.01.20神奈川県 | 宿泊業,飲食サービス業

おもてなし規格認証 取得企業インタビュー


2019年度「おもてなし規格認証 紫認証」を取得した「株式会社陣屋 元湯陣屋」代表取締役女将の宮﨑知子さん

「おもてなし規格認証」の最高位である「紫認証」に、2019年の第2弾として新たに1事業所が認定されました。紫認証は、認証機関から推薦を受けるとともに、顧客・従業員・地域社会の満足を促進することにつながる取り組みや、さらに、従業員の人材育成・業務効率化・顧客満足の向上につながる独自の取り組みの実施について確認された事業所に対して付与されるものです。

紫認証にいたった施策や取り組みはどのような内容なのでしょうか?そして生産性向上はどのように実現されたのでしょうか?紫認証取得者の皆さんにお話をうかがいます。19年第2弾の第1号となった「株式会社陣屋 元湯陣屋」(神奈川県)を紹介します。

「元湯陣屋」は鶴巻温泉(神奈川県秦野市)にある創業100年を超える老舗旅館。1万坪の広大な敷地に18の露天風呂付客室を備え、明治天皇も宿泊された貴賓室は、将棋・囲碁のタイトル戦の舞台としても知られています。経営危機に陥っていた10年前、自社開発によるクラウド型基幹システム「陣屋コネクト」の導入をはじめとするITの積極的な活用や、稼働率重視から高付加価値路線へのシフト等により経営再建に成功。現在は、グループ会社を通じた「陣屋コネクト」の普及(300以上の宿泊施設への導入実績)や、宿泊施設同士のネットワークによる共同事業の展開「宿屋 EXPO」を通じた、日本の宿泊業の活性化も目指しています。

2020に向けて日本経済活性化のカギを握る旅館業ですが、実際には様々な課題を抱えています。それらに真っ正面に向かい合い、解決に導いてきたのが「元湯陣屋」と言えるでしょう。元湯陣屋 代表取締役女将の宮﨑知子さんに話を聞きます(前後編でおおくりします)。

(取材:HANJO HANJO)
 

株式会社 陣屋
公式サイト

 

創業100年の歴史を刻むための大きなチャレンジが「紫認証」だった


「元湯陣屋」は鶴巻温泉にある創業100年を超える老舗旅館。経営危機に陥っていた10年前、自社開発によるクラウド型基幹システム「陣屋コネクト」の導入をはじめとするITの積極的な活用や、稼働率重視から高付加価値路線へのシフト等により経営再建に成功した

──「おもてなし規格認証・紫認証」を取得されました。率直なご感想をお聞かせください。


うれしいですね。ホッとしています。
 

── 生産性向上という観点、老舗旅館の立て直しストーリーなど、「元湯陣屋」は全国区で有名です。そして新たに紫認証取得です。


自分たちが飛躍する、頑張るきっかけになった理由のひとつが、第三者に認めていただけたことでした。そしてそれが経営の面でもサービスの面でも非常に効果的だと感じることがありました。

そういうなかで18年には「日本サービス大賞」(主催:日本生産性本部、サービス産業生産協議会)に挑戦、総務大臣賞を受賞いたしました。対外的に私どもの実際をお見せするだけではなくて、経営者がどこで何をどう話しているのかという点で、従業員に対しても意味があると考えたからです。

やってきたことを目に見える形として自分たちの歴史に刻みたいという思いもありました。サービス大賞を申請したのが陣屋創業100年の目前。そこから先の「3桁の歴史」に乗るタイミングで何か大きなチャレンジをしてみようということで応募させていただきました。
 

── おもてなし規格認証の何に魅力を感じたのでしょうか。


サービス大賞に応募したときに感じたのは、宿泊業のチャレンジが少ないということでした。これまでの受賞は例えばサッカーのクラブチームの運営や旭山動物園、前回の内閣総理大臣賞はクルーズトレインの「ななつ星 in 九州」でした。観光業というくくりでは数多くあるのですが、旅館業にしぼるとあまりありません。旅館業界も他のサービス業の方々ともっと交流すべきだ、広がりがあればいいなという思いもありました。

このところ陣屋での経営について講演のご依頼をいただく機会が増えたのですが、多くは旅館業ではない他業種の皆さんの会です。宿泊業界が門戸を開くと言うわけではありませんが、色々な点で影響を与えあえる気がします。同様に、おもてなし規格認証は外食業、衣料など様々な業態が含まれています。そこに新たな可能性や発見があるように思います。
 

── 講演ではどんな話をされるのですか。


経済同友会や商工会議所での講演では、旅館業についての分科会ではなく、団体全体という形でご依頼をいただいています。製造業の方たちには「仕組みとしてすごく腑に落ちる」とおっしゃっていただきました。
 

── 視野や関係性を広げたい、その発想の根本にあるのは何ですか?


おそらく主人(前社長・富夫さん)と私が他業種から旅館業に入ってきたということと、「陣屋コネクト」という旅館業に特化させたITツールを出したことで多業種化したことですね。多業種化したことによって観光業だけではなかなかお付き合いがないような方や会社と知り合えました。「陣屋コネクト」では、お世話になる管轄の省庁さんがたくさんできました。厚生労働省さんだけでなく、ITでは経済産業省さん、その先にある中小企業庁さんや整備機構の方々だったり。おもてなし規格認証は経産省さんが創設したものですが、様々な情報にアクセスできる機会を得るためにも有効だと思います。
 

── 外からの視点を持っていたということが視野を広げることにつながった。


旅館組合の方とお話をするとき、「あ、ご存じないんだ!」とハッとすることがあります。私たちが所属する温泉組合は厚生労働省管轄です。色々な施策を色々な省庁さんが準備されているのですが、その情報が取得する側の視野には入っていません。知らなければ、何も得られません。

私たちはIT業界の方たちとのネットワークがあるので、「そこのベンチャーだったらこういう風にしたらいいよ」とか「こんな施策があるよ」といった情報が入ってきます。しかし多くの旅館では、旅館組合関連の情報しか降りてこないのです。

逆に私たちは旅館継承当時、組合に入っていなかったので、そちら側の情報の取得が遅かったりしました。情報取得について業界や団体の垣根をこえてもっとフレキシブルになればいいなという思いもありましたし、私たち自身が率先できればとも思っていました。

ヒントとナレッジ。ITによって付加価値を見える化・共有化する


「おもてなし規格認証は外食業、衣料など様々な業態が含まれています。そこに新たな可能性や発見があるように思います」(宮﨑さん)

── 紫認証取得のポイントのひとつは「お客様の期待を大きく超えるおもてなし提供」、つまり付加価値についてです。陣屋ではそれはどういう点に現れているのでしょうか。


旅館業における付加価値はこれまでなかなか可視化するのが難しかったと思います。ノウハウがちゃんと積み上がって伝達されるものというよりは、先輩の背中を見て感じて獲得するといったところがありました。その情報を可視化しようとした点で評価をいただけたと思っています。より正確にいうと可視化するためのIT、そして情報を共有する意識だったと思います。

今までは先輩の行動を見て、自分で想像して真似してやってみるというやり方だったわけですが、情報があれば自分から動くことができる。指示待ちから脱却しなさいと言われても、どうやったら脱却できるのかがわからない。それが10年前の陣屋の状態でした。

「なぜ言わなきゃわからないの?」と問いただされても、そこに気づけるだけのヒントはなかなか取得できない。情報はお客様にサービスを提供する際のヒントになりえます。マニュアルは必要ですが、人に言われたとおり、決められたとおりに動くだけだとお客様の心を動かすことはできません。でもヒントを掴むことができれば、自発的に動ける。そうしてようやくお客様に気持ちが通じるのだと思います。「ヒントをどれだけ従業員に提示できるか?」それが私たち経営者の課題なんです。

もうひとつは「やってみて上手くいった」というナレッジをどれだけ共有できるのか。「あの人がああいう風に上手くできたのだったら私もやってみよう!」とか「前回いらしてくださったお客様が喜んでくださったからもう一回それをやってみよう!」とか「さらに変化球を加えてアレンジしてみよう!」。そういう創意工夫が生まれやすい環境にすることが大事です。
 

── ヒントを見える化していく、ということでしょうか。


当初は、お客様の情報を蓄積することの見える化に集中していました。それを10年間積み上げてきた結果、情報を共有することが「ヒントを自分たちで取得する」という“癖”に変化していきました。従業員皆の癖の歯車が噛み合う状態になっていったんです。
 

── かつては職人芸的な親方の背中を見て学ぶという余裕があったのでしょうか。


いや、余裕はなかったと思いますよ。マニュアルも整備されていない。たまに突然変異的にセンスのある人が下支えするというようなことでなんとか事業が継続してきたように思います。
 

── かつてのやり方を続けていたらやがては破綻していたかも?


従業員全体の最低ラインのバーを上げるのはすごく難しいんです。一定のクオリティのサービスを提供し続けるというのがものすごく大変だということもこの10年間で味わいました。底上げなしでは接客係の当たり外れが大きな宿になってしまいます。ベースを揃えていくことは情報を共有する以外にありません。

「一瞬で共有」「可視化して残す」。ITに託した2つの大切なこと


「陣屋コネクト」はいまでは、300以上の宿泊施設への導入実績を誇る。ITを導入することで、情報を「一瞬で共有する」と「可視化して蓄積する」の2つが可能になり、生産性が大きく向上する

── IT化、これはどこからやり始めたのでしょうか? 


私と主人は2009年の10月に陣屋に入社しました。そこから1ヶ月ほど静観していたんですが、何よりも情報の共有ができていないということと、セクションごとの連携がとれていないというのが一番大きな痛手だなと感じました。
 

── 旅館業を経験されていないお二方の目にそう映った。


例えばお客様が客室の近くで接客係に何かをお申し付けいただいたとします。うちは敷地が1万坪あるため、その係が戻ってくるまでに時間がかかりますし、違うお客様にお呼び止めいただいて対応している間に、初めのお客様が先にフロントに到着することがよくあるんです。すると「え、知らないの? さっき○○にいたお姉さんにお伝えしたんだけど」というようなことが度々起こるんです。また同じことを聞き直さなければならないですし、お客様としても「さっき説明したのに・・・」とテンションが下がってしまうというのもありますし、時間を無駄に使わせてしまうという、なるべくなら避けたいこと3項目がそこに固まってしまうということが頻繁に発生していました。

「情報を従業員間で円滑に迅速に共有する」ことが急務だと感じました。でもそれは従来のやり方ではできなかったんです。

フロントから遠い場所では内線電話でやり取りしていたのですが、電話が鳴っても大抵取れません。携帯電話に変わったところでお客様とお話していたら電話は取れません。接客係がフロントに何かを伝えたくても、予約の電話をお受けしていたら取れないわけです。携帯も含めて電話というツールは、私たちが欲しい条件から外れていました。

電話には問題がもうひとつありました。情報が一対一の関係なので、そこでの会話が広がらないことです。話し終わった内容を他のメンバーが知らないと結局、業務として機能しません。一瞬で全員に共有できるようにするには、電話ではない新たな道具が必要だという判断に至りました。そして「システム」という発想にたどり着いたのです。
 

── 電話でないシステム、それは何から始めたのですか。


やっていくうちに情報には2種類あると考えるようになりました。「一瞬で共有しなければいけないもの」と「蓄積しなければいけないもの」です。一瞬で共有するために、当初はインカムを導入しました。しかしインカムは高価なので全員に行き渡らせられません。インカムを持っている人の方が圧倒的に有利になるため、仕事の成熟度に差が生じてしまうという弊害がありました。
 

── 一瞬で共有しなければいけない情報とは何ですか?


「お客様が○○から○○まで移動されています」とか「○○を承っているのでフロントでキャッチしてください」といった時間との勝負のことです。例えばご懐妊されたお客様がいらっしゃったときにはこうです。お部屋に用意したお煎茶をほうじ茶に変えて差し上げたい。でも次のお客様が来てしまった。でもすぐにやらなければいけない。なんだけれども一瞬でやるべきことはその後にも続いていて、お茶を取り替えるだけではなくて、夕食をお出しするサービス係にも伝達したい・・・。

「懐妊されている」という項目を夕食の担当者や調理場にも伝えないといけないわけですが、個別に話すことは無理なので蓄積して残す必要がある。チェックインの時間帯は調理師たちの休憩時間とぶつかるため、調理場は手薄になっていることが多いんです。全員が定位置にいるわけではない。後で伝達すればいいと考えていると忘れてしまう。取りこぼしを避けるためには、その場面で一瞬で共有するけれども、可視化して残しておかなければいけない。「一瞬で共有」と「可視化して残す」。この2つが叶うシステムを作ることにしたのです。

「ないなら作ればいい!」。仕事のコアは自分たちで開発する


「リソースや商品数に限りのある宿泊業では薄利多売ができない。「一つひとつのサービスや商品の値段を上げるしかない」(宮﨑さん)。改革においてまず行ったのが料理商品開発。旅館内のあらゆる設備やサービスを徹底して見直すことで経営は上向いていった

── 初期投資のIT開発ですが、経営に負担がかかりそうです。


一気にというのは資金的に厳しい状況がありました。最初から開発しようと思っていたわけではなくて、選定要件を並べていたときに、世の中に自分たちが欲しい要件を満たしたサービスが存在しないということに気づきました。既存システムを導入すると何千万円にもなってしまう上に、そんな高額なものを我慢しながら使うのは嫌だなというところから、「じゃあ世の中にないのなら作ればいいんじゃないか」という発想で自前のシステム開発を始めたんです。
 

──「ないなら作ればいい」とはなかなか軽く言えない言葉ですね。


そこが主人のホンダイズムだと思うんです*。「コア技術は自分たちでやれ!」がホンダの研究所のポリシーなんです。「陣屋にとってのエンジンって何? コアって何?」と考えたときに、「それはお客様の情報だ」というところに行き着きました。自分たちでそれに対する解法を考える、人任せにしないと決めました。そこでクラウドのソフトウェアを開発することにしました。いまではマッシュアップは当たり前ですが、当時は有りものを掛け合わせるということは難しかったし、クラウドでやりたかったということもありました。
(*編注:前社長・富夫さんの前職はホンダのエンジニア)

減価償却が終わってパソコンの買い換え時に、それまで使っていたソフトがそのまま乗せられない、バージョンアップさせなきゃいけない、どうにもならないのでデータを移行しなければいけない・・・。でもデータ移行料はものすごく高額なんですね。4~5年の機器の入れ替えのたびにそんなお金を出すなんてたまりません。
 

── しっかりとコスト感覚はあったわけですね。


当時は瀬戸際なものですから。お金がないと何を絞り出すかというと知恵しかないんです。
 

── そこから「必要は発明の母」でどんどん改革を進めていかれました。まず客単価のアップからとお聞きしています。


当時、うちは一泊二食付き1万4~5000円前後の価格で販売していました。2009年はリーマンショックの翌年で、物やサービスを安価にしないとなかなか販売が伸びないため、クーポン割引や直前割引が流行っていました。うちも稼働率を維持したいがゆえに、とうとうクーポン割引にして9800円で販売してしまうことをやってしまっていたんです。なんですが、受け入れ体制が変わっていないわけですから、4000円値引いたところで、「忙しいけど儲からない」という負のスパイラルに陥りかけていました。

宿泊業は小売業と違ってリソースや商品数に限りのある商売ですので、単価を上げるしか利益を増やせません。薄利多売ができないのであれば一つひとつのサービスや商品の値段を上げるしかないと直感的に思いました。そこで5年をめどに「一泊二食付き3万円」を目標値として設けました。これだけの広さもあるので、本来であればそういう高価格帯の宿にするべきだったのです。ただいきなり3万円にはできないし、資金的に厳しくてハードウェアに手が付けられない。露天風呂付きのお部屋が多かったら良いなと思ったんですけど、そんな余裕はありません。大きな投資をせずに単価を上げる ── それは料理しかありません。料理を商品開発するということになりました。それでしょっちゅうお品書きを変えていました。


「値段を上げるのであれば、お客様が納得いただける商品にしなければいけない。そのためにはその商品プラスアルファの付加価値がどうしても必要です」(宮﨑さん)

── 定番を作るのではなく、しょっちゅう変えていたのですか。


当時1980円の天重という定番の大ヒット商品があったんです。お重からエビの尻尾が飛び出るような立派な中身です。でも原価計算するとなんと62%を超えているんです。売れば売るだけ赤字になっている。「何でこんなの作ったんですか?」と聞くと、「大きかったらお客様が喜んでくれるかなと思ってやりました」と。「今すぐ新しい献立を作ってください!」と伝えて、天重はその日のうちにやめました。
 

── 数字の感覚が全般になかった。


なかったですね。そこは主人が徹底的に検証しました。コストカットもしました。自分で計算して、これが何%といった数字の根拠を担当者に全部見せていったのです。
 

── それはベテランの方も含めて従業員の方は受け入れたんですか? 


一覧表を見せられたら納得せざるを得ないですよね。
 

── コストの見直しは対外的にもやられたんですか?


木造建築なのに光ファイバーが3本も入っていました。しかもパソコンを使える人間が一人しかいないのにです。母や叔母が業者さんに言われるままに「ああそうなんですね」という風に買い入れてしまっていたんです。主人はそこの業者さんを呼んで「わからない人に無駄な投資をさせる、そういう商売をお宅はするんですか?」と問い詰めました。「今後違うところとお付き合いしたいので、さよなら」って、その場でなったこともあります。

「なぜこれでなければだめなんですか、説明を聞かせてください」。展示会に行って新しい技術の勉強もして全部調べて、「今こういう商品があるのだけれど、それを適用することはできないんですか。できない理由を述べてください」。一人ひとりの業者さんに会って、主人が逐一論破していくんです。

多方面の視点が活性化につながる


「一つの道をただ突き進むだけではなくて、多方面からの視点で見ていただくことで活性化につながります」(宮﨑さん)

── 努力の結果、客単価は目標に近づきました。


今はお一人あたりの消費単価約5万円をいただいています。値段を上げるのであれば、お客様が納得いただける商品にしなければいけない。そのためにはその商品プラスアルファの付加価値がどうしても必要です。

同時に従業員の意識も変わってきました。これだけいただくのだから、頑張らなければ、納得していただかなくてはという風になります。経営サイドでは、サービスのトレーニングもしなければいけません。一人ではできなくてもチームなら乗り越えられることもあるので、チームで乗り越えようとするという意識も生まれました。

 

── 例えばどういう活動が従業員の意識を上げたのでしょうか?


2011年におつきあいのある企業が自社の展示会用にうちを取材されたんです。事例として取り上げたいということで、VTRを作ってくださいました。そのVTRを見たときに全然違う見方というか、外部からはこういう風に見ていただいているんだと気づかされました。

その会社の様々な部署の方やVTRをご覧になった他社の方に宿を利用していただきました。「すごく良いですね」「こんな風に撮れました」とおっしゃりながら写真もたくさん撮影されて、「SNSに載せてもいいですか」とお声をかけていただいたりしました。

「ちょっとお話を聞いてもいいですか?」と質問を受けたときに、すぐに返答ができないのは嫌じゃないですか。すごく良い答え方をしている仲間を見ると、「私にも教えて」とか「さっきどういう風に答えたの」とか「そう言えばこんな事例があったからちょっと前のお客様の話をしてみよう」とか・・・私も知らなかった事例が社内の方でたくさん集まってきました。

それまでは社長と女将が運用に関してあんまり口うるさく言うからしょうがないなみたいなところもあったと思うんです。でも思ってもいなかった第三者の方々から褒めていただく、認めていただくというのがすごく新鮮であり、ものすごく力強いことなんだと気づきました。そこで雰囲気が変わっていきました。
 

── 今回のおもてなし規格認証も対外的な評価になるわけですね。


もちろんそうです。一つの道をただ突き進むだけではなくて、多方面からの視点で見ていただくことで活性化につながります。

(後編に続く)

株式会社陣屋 元湯陣屋

組織名 株式会社陣屋 元湯陣屋
代表取締役 女将 宮﨑 知子
所在地 〒257-0001
神奈川県秦野市鶴巻北2-8-24
TEL 0463-77-1300(代表)
ホームページ https://www.jinya-inn.com/

認証機関

一般社団法人 おもてなしマイスター協会

接遇教育、おもてなしのグローバル化に30年の実績を持つ教育機関から生まれた協会です。ハード・ソフトの両面でサービスの総合力向上支援を全国展開します。
 

お問い合わせ
電話番号:03-6778-5532
メールアドレス:info@omotenashi-meister.or.jp

記事協力

HANJO HANJO