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パナソニック株式会社 パナソニックセンター東京

おもてなし規格認証 2019 最高位「紫認証」取得事業所に聞く 4(後編)~パナソニック株式会社 パナソニックセンター東京~

2019.07.26東京都 | 生活関連サービス業,娯楽業

おもてなし規格認証 取得企業インタビュー


2019年度「おもてなし規格認証 紫認証」を取得した「パナソニックセンター東京」。パナソニック株式会社の最先端技術・ソリューションを通じた未来の暮らしやビジネスソリューションを体験できる施設として、一般のお客様をはじめ、体験学習に訪れる小学生~高校生、ともに社会課題解決を目指すビジネスパートナー、海外からの国賓に至るまで年間100万人以上の来場者を受け入れているグローバルな総合情報発信拠点として機能している

「おもてなし規格認証」の最高位である「紫認証」に、2019年の第一弾として5事業所が認定されました。紫認証は、認証機関から推薦を受けるとともに、顧客・従業員・地域社会の満足を促進することにつながる取り組みや、さらに、従業員の人材育成・業務効率化・顧客満足の向上につながる独自の取り組みの実施について確認された事業所に対して付与されるものです。

紫認証にいたった施策や取り組みはどのような内容なのでしょうか? そして生産性向上はどのように実現されたのでしょうか? 表彰を受けた紫認証取得者の皆さんにお話をうかがいます。第4回は「パナソニック株式会社 パナソニックセンター東京」(東京都)を紹介します。

「パナソニックセンター東京」は、パナソニック株式会社の最先端技術・ソリューションを通じた未来の暮らしやビジネスソリューションを体験できる施設として、一般のお客様をはじめ、体験学習に訪れる小学生~高校生、ともに社会課題解決を目指すビジネスパートナー、海外からの国賓に至るまで年間100万人以上の来場者を受け入れているグローバルな総合情報発信拠点です。ビジネスパートナーとの共創の場、東京における同社の迎賓機能の役割も担っており、長期的視点からのパナソニックのブランド向上に寄与しています。後編ではダイバーシティやコミュニケーション、共創などについて、引き続きパナソニックセンター東京 所長の池之内章さんに話を聞きます。

(取材:HANJO HANJO)
 

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パナソニックセンター東京
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ダイバーシティ&インクルージョンを実際に経験する場所


アクティブラーニングキャンプのエリアに設けられた点字の表記。目が見える人も見えない人も同じ文字を読むことができるように、目で読める墨字と指で読める点字が一体になったコミュニケーション方法を取り入れている

ーーテクノロジーの最先端企業として館内のいたる場所でその実際を見ることができます。
パナソニックの独自技術「光ID」を活用した情報配信システム「LinkRay(リンクレイ)」やITによって、日本語だけでなく、英語、中国語、スペイン語など多言語対応できるようになっています。透明なディスプレイなど、LEDを使ったサイネージも随所にあります。これらはお客様を快適に案内するとともに、運営コストの削減にもつながっています。

ーーピクトグラム表示のほかに、点字の表記が特徴的です。
アクティブラーニングキャンプのエリアに点字の表記を設けています。点字は一般的には目の不自由な方に向けたものです。しかし、目の見えるひとと目の不自由なひとがコミュニケーションするときに、点字だけだと何を書いているかは健常者にはわかりません。目が見える人も見えない人も同じ文字を読むことができるように、目で読める墨字と指で読める点字が一体になったコミュニケーション方法を取り入れています。これは「ブレイルノイエ」というプロジェクトが提唱している新しい手法です。

点字を表示するだけでなく、講師をワークショップにお招きし、ダイバーシティをいかに理解し、いかにコミュニケーションするかについて、参加した小学生に実際に体験していただきました。そのようなワークショップを数多く実施しています。そこで得られた知見をダイバーシティ&インクルージョンという形で実際の現場にとりいれています。

――「HUMAN LIBRARY」というダイバーシティ&インクルージョンを考えるワークショップを定期的に開いていますね。
ダイバーシティ&インクルージョンは東京オリンピック・パラリンピックのコンセプトのひとつでもあります。「HUMAN LIBRARY」は、社会の中でマイノリティとされる方、誤解をうけやすい方、ダイバーシティ環境で働いた経験のある方を「本」として、来場者に30分間対話形式で貸出を行うイベントです。これまでにパラリンピックの選手やLGBTの方などをお招きして、ハンディキャップや多様な方々とコミュニケーションすることの難しさについて、参加者に体験していただきました。

社会課題を会社としてどう捉えどう向き合えるか? 国連のSDGsの17の目標のように、パナソニックは社会の環境の変化や課題を非常に意識しています。パナソニックセンター東京でも、それらの課題に対してできることには手を打っていこうと考えています。

――東京国際レズビアン&ゲイ映画祭のグランプリ作品の上映会&ワークショップも催しました。
映画の上映会に加え、LGBTの方をお招きし、トークショーやワークショップを行いました。会社としてもLGBTの社員をどんどん受け入れています。たとえば人事関連制度では、同性パートナーにも配偶者に準じた対応をしています。

しかしLGBTを受け入れるプラットフォームはまだまだ企業や社会に整備されていないように思います。ワークショップという機会を得て、ご本人と話をしたり、課題に対して自分自身が実際に入ってみて考えてみる。そうすることで全然違う視野をもつことができます。始まったばかりの活動ですが、第一歩となるような仕組みをどんどん作って、会社全体に広げていきたいと考えています。

次代へのキーワード「共創」をあらゆる機会で


館内の展示はいつもフレッシュな状態を保つよう配慮されている。写真は東京2020大会から追加種目となった新競技を体験展示で紹介する1階のコーナー

ーー館内案内するスタッフが伝えることは盛りだくさんです。どういう指導をしているのですか。
研修カリキュラムについては、企業理念からビジネスの最先端まで、かなりの時間を費やしています。導入研修で1~2週間、そのあと実際のお客様の前に立つ実地訓練をし、それから原稿を覚えるという流れです。およそ1ヶ月の間、みっちり研修を行います。その後も現場でOJTをしながらQ&Aをつくり、お客様に対応しています。

覆面調査も1年に1回行っています。そこで出てきた課題を話し合い、どういう研修したらいいのか、上からの押し付けではなく皆で考えています。一昨年の課題は「メイクアップ」、去年は「発声」でした。話し合いの結果、プロにお願いして訓練することにしました。


「おもてなし規格認証」の定義のひとつが「地域・社会と共生していくこと」だ。パナソニックセンター東京は立地する江東区と教育関連において貢献している

ーー海外のお客様が日々増えています。
言葉については英語、中国語をベースにしています。特に中国のお客様が増えているので中国語で対応できるように増員しているところです。点字、LinkRayもそうですが、多言語展開では弊社の技術を活用しながら、インバウンドのお客様に対して発信内容を正確に伝えるようにしています。

ーー外国人スタッフも何名か働いていますね。
外国人からのフィードバックは大きいですね。価値観や仕事の進め方は違いますが、互いに尊重し理解し合いながら働いていただいています。日本人スタッフも彼らと接触するなかで様々な学びを得ています。

言葉としてのダイバーシティではなく、実際のダイバーシティを環境とすることが、イノベーションの源になっています。「ダイバーシティでなければイノベーションは起こらない」というくらいの気概をもって臨んでいます。人種、LGBT、ハンディキャップ・・・すべてのバリアを取り払ってイノベーションにつなげていきたいですね。

ーー館内の展示やコンテンツを決めるにあたって気をつけていることはありますか?
本社の事業部門、開発部門とは常に会話をしています。パナソニックの羅針盤的施設として最先端の技術やソリューションをつねにアップデートしていないといけないからです。1年に何回かマイルストーンを設けて、いつもフレッシュな状態を保てるよう心がけています。

ーー企業と地域との関係がこれまでになく大切な時代になりました。
パナソニックセンター東京が立地する江東区とは、特に教育関連においてコンタクトさせていただいています。区内の全ての公立小学校では、5年生時のカリキュラムの一部としてオリンピック教育のために当施設を訪れていただくことになっています。

ーーそんなに大勢の小学生に対応するのは大変じゃないですか?
いえいえ。楽しいですよ(笑)。

ーーフロアでは子どもたちは昔のような社会見学ではなく、自由に見て回っていますね。
何時間でも本を読んでもらってもいいし、カフェでお茶を飲みながら考えていただいてもいい。スタッフに勝手にインタビューをしてもらっても構いません。いわゆるアクティブラーニングです。説明員もいますが、それはあくまでも自ら学ぶことの手助けをするだけです。「こうだよ」と指示するのではなく「こうだけど考えてみよう」――そういった投げかけをかなり意識しています。

パネルや映像だけでなく、スポーツクライミングやサーフィン、空手などを体験展示で紹介しています。体験とアクティブラーニングによって自分ごととして実感いただける、開かれた雰囲気が醸し出されているのに気づいていただけるはずです。

ーーインタビューのなかで、「共創」という言葉を何度となく聞きました。
4階の会議室では、お客様にビデオでパナソニックの考えをご理解いただいたあとすぐ、ディスカッションしていただけるようにしています。たとえば「モビリティのコーナーでは○○を見たのだけれど、われわれが考えている○○を組み入れたらどうだろう」と、間髪おかずビジネス・ディスカッションに入っていただけます。これは1階のオリンピックのアクティブラーニングもそうですし、ともに考えて作っていくことが、今後のキーになってくると思います。そのための施設のあり方や発信の仕方、コミュニケーションも含めて、「インタラクティブに一緒に考えていきましょう」という雰囲気や空間を創造していかなければならないと考えています。

2020、そしてその先にあるものは?


「社会課題を解決する一連の流れの一拠点として、パナソニックセンター東京が位置づけられることを目指していきます」(池之内さん)

ーー池之内さんは海外勤務も経験され所長に着任されたそうですね。
アメリカと中南米に6年ほど駐在しました。パナソニックが100年の歴史を有する会社だということや、経営理念といったある意味、哲学的な点には、現地の社員は興味がない、ビジネスと割り切っているのではないかと思っていました。でも実はそんなことはありませんでした。昨年の創業100周年にあたっては、現地の社員から「理念をもっている会社というのは非常に大事なことだから、それはどんどん社会にアピールするべきだ」と言われたんです。これはアメリカだけでなく中国や欧州でも同じでした。むしろ「言わない方がおかしい」と皆さんがおっしゃるんです。逆に企業が理念を持つことの大切さを気づかされました。

当施設でも海外の方とのコミュニケーションのなかで、経営理念を紹介するしかけを作っています。4階では企業の年表を掲出し、会議室には創業者による初号機のパテントをアートワークにして展示しています。

ーーパナソニックセンター東京の今後の目標を教えてください。
まずは2020年の東京オリンピック・パラリンピック大会でいかに世界のお客様をお迎えして企業価値を高めるか。そこに相当のリソースを投下しています。もちろんこの施設は2020大会のためだけの施設ではないので、その後の位置づけも重要です。ビジネスと社会貢献はともにどうあるべきか。いまから準備をして、大会が終わったらすぐに切り替えないといけません。その核になるのが「共創」です。ダイバーシティ、インクルージョン、LGBT、SDGs・・・社会課題を地域の皆さん、企業パートナーの皆さん、新規事業をおこすアントレプレナーの皆さんと共創して事業におとしこめる体制を作っていかなければなりません。

社会課題を解決する一連の流れの一拠点として、パナソニックセンター東京が位置づけられることを目指していきます。また、これまで培ってきた次世代の子供たちとのつながりも大切にしたいと思っています。これからの次世代を担う方が楽しみながら学ぶことができるものは何なのか? そんなこれからのことをスタッフや関係者と想像したりディスカッションすることも、とても有意義で楽しい時間になっています。

パナソニック株式会社 パナソニックセンター東京

組織名 パナソニック株式会社 パナソニックセンター東京
取締役会長 津賀 一宏
所在地 〒135-0063
東京都江東区有明3丁目5番1号
TEL 03-3599-2600
ホームページ https://www.panasonic.com/jp/corporate/center/tokyo.html

記事協力

HANJO HANJO