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ホテル九重

「おもてなし規格認証」で会社が変わる!地域が変わる!/静岡編5~ホテル九重~

2018.05.23静岡県 | 宿泊業,飲食サービス業

おもてなし規格認証 取得企業インタビュー


観光資源に恵まれた静岡県西部地域。そこで「おもてなし規格認証」を使って地域の観光力向上を推進しているのが「遠鉄観光開発(株)」だ。営業推進部マーケット戦略課長の日置茂雄さんは、失敗を恐れず果敢に挑戦する「やらまいか」精神で生産性向上に取り組んでいる

浜松市を中心として発展してきたのが静岡県の西部地域だ。豊かな自然と多彩な伝統を背景に、個性あふれる文化や産業を作り上げてきた。観光という点でも他の地域とは違う独特の魅力に溢れている。その特徴のひとつは温暖な気候だろう。外遊びのレジャーを満喫できる浜名湖や四季折々の花が咲きほこるはままつフラワーパーク。うなぎだけでなく黒潮が育む海の幸にも恵まれている。一方で日本を代表する製造業発祥の地でもあり、ものづくりの情熱にあふれるエリアでは産業観光もできる。歴史的な施設も数多くあり、大河ドラマ『おんな城主 直虎』の舞台となったことも記憶に新しい。

そんな観光資源に恵まれた静岡県西部地域でも今、おもてなし規格認証が広がっている。おもてなし規格認証を使って地域の観光力向上を推進しているのが「遠鉄観光開発株式会社」だ。遠鉄観光開発で運営しているホテルやリゾート施設のうち、「ホテル九重」と「ホテルウェルシーズン浜名湖」の2つが金認証を取得している。失敗を恐れず果敢に挑戦する「やらまいか(やってみようじゃないか)」精神で生産性向上に取り組む、遠鉄観光開発 営業推進部マーケット戦略課長 日置茂雄さんに話を聞く。
 

(取材:HANJO HANJO)
 

ホテル九重

   

■「おもてなし規格認証」はホテル業にとって「ISO」の役割を果たしてくれる


おもてなし規格認証・金認証を取得した「ホテル九重」。信頼できる評価制度の認証はお客様にとってひとつの目印になる。「おもてなし規格認証はホテル業にとってISOと同様のものだと認識しています」(日置さん)

――おもてなし規格認証のどんなところに魅力を感じたのでしょうか。


ホテル・旅館業のサービスに対する評価制度というのは今までなかったように思います。他の業界には「ISO」規格がありますが、おもてなし規格認証はISOと同様のものだと認識しています。

おもてなし規格認証取得によってホテルとしての信頼度の向上が期待できるのではないか、また「こういうレベルのおもてなしができます、だからお出でください」というお客様に対してのアピールにもなるのではないかと考えました。「いいおもてなしでお迎えします」といくらホテルがうたっていても、実際のところお客様にはわかりません。信頼できる評価制度の認証を受けているのなら、ひとつの目印になりますし、それは意味をもつと思います。

遠鉄観光開発では「ホテル九重」と「ウェルシーズン浜名湖」の2つの事業所でおもてなし規格認証の金認証を取得しました。


遠鉄観光開発はIT導入でかなり先進的な施策を取り入れている。「AI(人工知能)やRPA(ロボットによる業務自動化)の活用も検討し始めています」(日置さん)。先取の精神はまさに「やらまいか」を感じさせるものだ

――おもてなし規格認証は社内の業務改善や生産性向上のツールとしても使えます。


ホテル九重でまず行ったのは業務の棚卸しです。例えば、フロントだったらチェックイン・チェックアウト、電話対応といったことを細かく洗い出し「見える化」します。その後、各セクションでスタッフの業務範囲を把握します。

その中でマルチタスク化も進めています。ホテル九重では、お客様への接客、料理提供などのサービスは、基本的に着物を着ることのできる女性スタッフが担当しますが、宴会やお客様のお出迎えで人が足りないときには、フロントや売店担当のスタッフを接客サービスに当てています。総合本部からのヘルプ体制をとることもあります。そのほか男性スタッフでも料理提供や裏方ができるように教育のスキルマップを作って、一人ひとりの業務範囲を見極めている最中です。
 

――マルチタスクなどの業務改善ですが、業態による違いはありますか。


ウェルシーズン浜名湖はバイキング中心の施設なのでスタッフが着物を着ることはあまりありません。朝はレストランの片付けやチェックアウトを行い、昼は宴会の準備をする、最後はバイキング会場でお客様を席までご案内する、といったように時間ごとの業務を細かく行っています。ウェルシーズン浜名湖の先行事例をホテル九重では参照しています。
 

――生産性向上では付加価値を上げることが重要です。


「『また来たい九重』運動」という改善運動を社内で実施しています。各部署からスタッフが参加する形で会議を開き、おもてなしや料理、生産性の向上や経費節減といったテーマを設定しています。ホテルのスタッフだけでなく総合本部の企画部門も参加して、テーマに対して何ができるかを毎月議論し、そこでの結論を形にして実行するようにしています。互いに知恵を出し合って、無駄なものは削減し、効率化の必要な部分は効率化する、でもおもてなしのレベルは下げないように努力をしています。
 

――IT導入ではかなり先進的な施策を取り入れていますね。


一般的な会計ソフトや仕入システムはもちろん、顧客管理もしています。今後についてはAI(人工知能)やRPA(ロボットによる業務自動化)の活用も検討し始めています。

お客様に電話をする手間を取らせないため、簡単な施設に関するお問い合わせについては、AIで解決できるようにしたいと思っています。お客様の利便性も向上しますし、スタッフの負荷も軽減できます。RPAは毎日ルーティンで行っている資料作成や予約の入力作業などに活用できないかと考えています。まずは予約や企画部門で始め、やがては現場でも活用していきたいです。

■海外個人客に対応できる能力や、ウェブでの情報発信が必要になってくる


金認証を取得したもうひとつのホテル「ウェルシーズン浜名湖」。静岡県西部地域は2020年にかけて様々なイベントや話題が目白押しだ。「おもてなし規格認証を使って、人や地域、業界のつながりを強くしていきたい」(日置さん)

――静岡県はおもてなし規格認証の金認証の数が全国一です。


県内のそうそうたる顔ぶれが金認証を取っていますね。評価の高いホテルや施設が並んでいることは、私たちのホテルや施設の信頼にもつながると思います。ほかにもおもてなし規格認証取得者の業務内容を参考にしたり、ベンチマークとして見ることもできます。これらはおもてなし規格認証の良いところだと思います。
 

――ホテル九重のある静岡西部地域の観光業や飲食業の特徴を教えてください。


ホテル九重がある舘山寺温泉、南に行くと弁天島温泉、この2つが西部の大きな観光地です。舘山寺温泉では、遊園地もあり夏はファミリーや子供連れのお客様がたくさんいらっしゃいます。

食の分野では、浜名湖のうなぎは有名ですが、他にもすっぽん、牡蠣、夏だとハモ、冬だとトラフグですね。食材は豊富です。特にフグやハモはブランド化に取り組んでいます。

昨年は大河ドラマ『おんな城主 井伊直虎」の効果で、多くのお客様に来ていただきました。ウェルシーズン浜名湖、ホテル九重ともに大手予約サイトのクチコミで高い評価をいただいています。特にウェルシーズン浜名湖は稼働率が高く、平日でも個人のお客様だけで満室になる日もあるお客様から評価されるホテルになっています。

ただ舘山寺温泉の地域全体で見ると、エリアとして努力する余地はまだまだありそうです。今年の温泉開湯60周年にあわせた企画の検討をしているところです。来年は浜名湖花博15周年をむかえます。2019年3月には東名高速道路舘山寺スマートインターチェンジも開道予定です。2019年の大河ドラマの主人公・田畑政治が浜松出身なんです。フジヤマのトビウオ、古橋廣之進も浜松の出身です。それらをうまく組み合わせて集客につなげたいと考えています。
 

――インバウンドについてはどんな取り組みをしていますか。


何年か前から定期的に台湾に行って現地の旅行業者にアプローチをしています。最近は徐々にツアーが入ってくるようになりました。ホテルでは海外のお客様にくつろいでいただけるように、外国語での館内案内の充実に取り組んでいます。ネット経由でFIT(海外個人旅行)も増えています。
 

――ホームページでは、従業員の方が顔出しでイベント紹介や料理番組に登場しています。


従業員を表に出していこうというコンセプトでやっています。お客様から「ホームページを見たよ」とか「ホームーページに出ていた人だね」とお声がけをいただいたりします。口コミの影響は大きいですね。お客様と遠からず近からずのちょうどいい距離が必要だと思っています。特にウェルシーズン浜名湖ではそれを心がけています。

■おもてなし規格認証で人や地域、業界のつながりを強くする


ホテル九重で生産性向上の一環として行っているのが「『また来たい九重』運動」だ。各部署からスタッフが参加し結論を形にして実行するようにしている。無駄なものは削減し効率化するなかでおもてなしのレベルは下げないように努力をしている

――観光エリアとして地域で取り組んでいる施策はありますか。


来年の話になりますが、この地域活性化のために「静岡DC(デスティネーションキャンペーン)」が開催されます。

地方自治体とJRグループおよび旅行会社が協力し、開催期間の3ヶ月間に重点的かつ集中的にプロモーション活動を実施することで全国から観光誘導を図り、地域活性化を目的とした国内最大級の観光キャンペーンです。このキャンペーンの中で浜名湖地域の魅力をアピールしていきます。
 

――静岡西部地域は観光のバリエーションが豊富ですね。


浜松フラワーパークでは花フェスタを3月から6月までの長い期間で開催しています。温暖な気候のなか「花の街」としてお客様に喜んでいただいています。西部地域はホンダ、スズキ、ヤマハ、カワイなど、世界的な工業系企業発祥の地でもあり、産業を身近に体験していただける施設もあります。有名なお菓子もあり、いろいろな楽しみ方を体験していただけると思います。
 

――静岡県のおもてなし規格認証は、点ではなく面として地域全体、静岡全体を盛り上げるのが特徴です。


遠鉄観光開発が属する遠鉄グループは、鉄道やバスなどの運輸事業から出発しましたが、現在は地域の暮らしに密着した総合生活産業として事業を展開しています。スーパーや百貨店などいろいろな業態がありますが、その一つひとつが地域の皆様に愛されなければなりません。ただホテルは地元だけでなく、遠方からもお客様がいらっしゃいますので、基本的には私たちホテルや観光に携わる人間が西部エリアを観光都市として盛り上げていかなければなりません。おもてなし規格認証を使って、人や地域、業界のつながりを強くしていきたいと思っています。

ホテル九重

事業所名 浜名湖かんざんじ温泉 ホテル九重
所在地 〒431-1209
静岡県浜松市西区舘山寺町2178
TEL
フロント直通
053-487-0090
ホームページ https://hamanako-kokonoe.jp/

記事協力

HANJO HANJO